北米探偵小説論21

On North American Detective Stories 21

野崎六助 著

定価:本体8,800円+税
2020年6月20日書店発売

四六判上製 8ポ二段組 1232頁
ISBN978-4-900997-81-3
装幀:間村俊一
写真:港千尋

前作を一新する書き下ろし3500枚!
未踏の領域へ到達した北米=世界探偵小説論

ホフマンに遡り、ゾラを発見し、ヴィクトル・セルジュを救出しつつ、ジュネを召喚する……、欧米探偵小説の聖杯の騎士達は言うに及ばず、マヤコフスキー、チャペック、ボルヘス、レム、マルケス……そして数多の日本語文学作家をも包摂した比類なき大著。20世紀の最深部を踏破するライフワーク決定版!
19世紀から21世紀の現在まで、米国、西欧、東欧、ロシアから南米、東アジア、日本まで、時空間を超え、探偵小説の原像と現在像を描ききる。登場する作家1100名余、言及される作品1400作超。

【本書の書評、紹介、インタビュー】(抜粋)

●杉江松恋氏「征服者の国家(アメリカ)を文学的に俯瞰するための有効な概念装置として野崎は探偵小説を見出したのである。…諸国の作家に言及することで必然的に導かれるのは、探偵小説とは何かという根源的な問いだ。…常に他者との関係性の中で規定されるのが近代的な自我のありようだが、探偵小説という形式はその断面図を詳らかに描き出すのである。」(週刊読書人、2020年11/13号)

●松坂健氏「単独著のミステリ論としてはギネスものだろう。…自己は群集に飲み込まれ、自分が他者に変容していく。そのプロセスを与えてくれるきっかけが文学であり、探偵小説なのだ、と主張する。…本格ものだろうがハードボイルドだろうが、群集が常にそこにいるから、都市論になる。卓見だ。」(ミステリマガジン、2020年9月号〈ミステリ・サイドウェイ)

●無署名「ポーやエラリー・クイン、エミール・ゾラ、ボルヘス、江戸川乱歩など、千百余名の作家を俎上に展開する文学・文化論」(北海道新聞、2020年10月11日〈読書ナビ〉)

●インタビュー「ミステリを読んでいるだけの人間であっても、現代の時代の劣化にはすぐ気づくはずです。…なぜそうなってしまったのかを考え直すにあたり、そもそも二〇世紀という時代はなんだったのか、そのことをもっと対象化しなければならなくなった。本書が向かう先もどんどん多岐にわたり、議論もより深くなっていきました。」(尾之上浩司氏による著者インタビュー、図書新聞、2020年10月10日)