叡智の鳥

川瀬慈 著

発行:Tombac
発売:インスクリプト

定価:本体1,600円+税
2021年1月9日書店発売

四六変型判並製 118頁
ISBN978-4-900997-89-9
ブックデザイン:井川祥子
装画:久保田沙耶

詩的感応による世界創造

アジスアベバ、伊江島、読谷村、直島、吹田、フランクフルト、マンチェスター……、ストリートから、街の片隅から、森の奥から、悲惨を刻む世界の底から、言葉が、祈りが立ち上がる。映像人類学者・川瀬慈第一詩集。詩的感応による世界の創造。

惑星のまわりをぐるぐると運行し続ける衛星は、惑星のことを思慕しつつも惑星に到達することはない。叡智の鳥は母なる大地を想いつつ、それに触れることも着地することも許されず、歓びと哀しみの歌を歌いながら、はてしなく世界を周遊し続ける。しかしその飛行の軌跡には様々な物語がおのずと胚胎し、また新たな世界を芽吹かせていく。この鳥の果てしない旅を想う。

ここ数年のあいだに、様々な土地を歩き、それらの土地に突き動かされるように、詩や物語の類を吐き出してきた。それらを無造作に束ねてみたら、少し不格好かもしれないが、小さな花束になった。この束をそっとあなたに手渡すとしようか。花束はあなたの手をするりとすべって、鳥となって大空を舞うことになるだろう。(「あとがき」より)

叡智の鳥

 

ドンチョ靴磨きの少年とベル

 

 

天女の歌に誘われて

 

太陽の場所

 

光のモノガタリ

 

歌の精

 

潜れ! 世界が乱れ咲くまで

 

ハラールの夢想

 

バー・マレブ

 

ストリートはどこまでものびていく

 

くろうたどりのさえずりに

 

 

あとがき

 

初出

川瀬慈(Itsushi KAWASE)

1977年生まれ。映像人類学者。国立民族学博物館/総合研究大学院大学准教授。アフリカ、主にエチオピアの吟遊詩人、楽師たちの研究を行う。同時に人類学、シネマ、アート、文学の交差点から叙述と語りを探求する。制作した映像作品は各国の主要な民族誌映画祭において紹介されてきた。近年はアフリカのストリートで採集した音を流しながら、自作の詩を朗読するというパフォーマンスを各地で行っている。主な著作に『エチオピア高原の吟遊詩人 うたに生きるものたち』(音楽之友社、2020年)、『あふりこ フィクションの重奏/遍在するアフリカ』(編著、新曜社、2019年)、『ストリートの精霊たち』(世界思想社、2018年、第6回鉄犬ヘテロトピア文学賞受賞)。