地球から月へ 月を回って 上も下もなく

ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクションII  第一回配本

ジュール・ヴェルヌ 著
石橋正孝 訳

定価:本体5,800円+税
2017年1月20日書店発売

A5判丸背上製 かがり綴カバー装 本文9ポ二段組 660頁
挿画:125葉
ISBN978-4-900997-44-8
装幀:間村俊一
装幀:間村俊一
カバー装画:堀江栞「浮沈子」
挿画:「地球から月へ」アンリ・ド・モントー、ジョルジュ・ルー
「月を回って」エミール・バイヤール、アルフォンス・ド・ヌヴィル
「上も下もなく」ジョルジュ・ルー

巨大な大砲に取り憑かれた愛すべき紳士たちが活躍するガン・クラブ三部作を一巻に収録。その第一作『地球から月へ』は、ヴェルヌが幻視した「もう一つの」アメリカの物語。失業した大砲屋が砲弾を月に撃ち込むと言い出して……。続く『月を回って』で、無謀にも自ら月に向かうことになった三人の宇宙飛行士たちは、砲弾に幽閉されたまま、誰も見たことのない月の裏側へと回り込んでいく。それからおよそ二十年、地球に帰還した大砲屋の次なる目標は、北極。その顛末を語る『上も下もなく』は、ヴェルヌの過激なパロディ精神を炸裂させ、三部作をしめくくる。世界初訳の補遺、挿画128葉を収録した特大巻。本邦初の完訳。

ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクションの第一回配本である本書は、いわゆる「ガン・クラブ三部作」に当たる三作、すなわち、Jules Verne, De la Terre à la Lune (Paris, Hetzel, 1865), Autour de la Lune (Paris, Hetzel, 1870), Sans dessus dessous (Paris, Hetzel, 1889)の全訳を収録した。三部作を一巻にまとめて刊行した先例は、本国にもまだ存在しない。
本選集は、各収録作の最終ヴァージョンを底本として採用している。当然とも思われる原則をわざわざ断っておかなければならないのは、ヴェルヌ作品の翻訳としては、これが世界でも初めてのことだからである。[…]ヴェルヌの最も有名な作品ですら、信頼できる本文がいまだに存在していないということである。このような状況に鑑みて、本選集では、ヴェルヌとエッツェル父子の往復書簡から各作品の最終ヴァージョンを確定した上で、ナント市立図書館のウェブサイトで公開されている著者自筆草稿を適宜参照し、可能な範囲で校訂作業を行っている。本書収録作については、『地球から月へ』『月を回って』は挿絵版を、『上も下もなく』は[エッツェル書店刊行の]十八折判をそれぞれ底本とした。(「訳者あとがき」より)