映画の荒野を走れ

──プロデューサー始末半世紀

伊地智啓 著
上野昂志・木村建哉 編

定価:本体3,500円+税
2015年4月24日書店発売

四六判上製 丸背カバー装 384頁
ISBN978-4-900997-56-1
装幀:間村俊一

相米慎二を育てた男が、日本映画の半世紀を語り尽くす。
荒野のごとき映画界を駆け抜けよ! 裕次郎全盛の日活に入社、ロマンポルノへの路線変更を機に助監督からプロデューサーへと転進し、数々の話題作の企画を経て、出会ったのは相米慎二だった──。プロデューサー業の真髄と本懐とは何か。日本映画史を彩った監督とスターの、いま明かされる秘話満載。
【特別収録】盟友プロデューサー対談=黒澤満+伊地智啓

〈本書の登場人物〉
石原裕次郎、吉永小百合、舛田利雄、鈴木清順、蔵原惟繕、浦山桐郎、今村昌平、澤田幸弘、藤田敏八、西村昭五郎、小沼勝、曽根中生、田中登、加藤彰、白川和子、中川梨絵、片桐夕子、三井マリア、黒澤満、松田優作、村川透、長谷川和彦、村上龍、相米慎二、薬師丸ひろ子、丸山昇一、角川春樹、永瀬正敏、斉藤由貴、澤井信一郎、田畑智子、三國連太郎、田中陽造、中島丈博、奥寺佐渡子、中井英夫、李相日、宮藤官九郎、佐藤隆太、佐々木蔵之介……

プロデューサーなかりせば──伊地智啓の仕事 上野昂志

第1章 助監督室って無頼の館──日活助監督時代
試験、合格、即現場
助監督の役割
所長室という中心
吉永さんと同期です
監督十人十色
撮影のローテーション
スターたち、観客たち
六〇年代の変容
助監督が書く脚本
幻の「伊地智啓監督」
裕次郎ではなく蛾次郎
松竹という「隣の芝生」
「日活労働組合」結成の後先
堀社長と撮影所
ダイニチ映配からロマンポルノへ

第2章 大胆不敵、試行錯誤──日活ロマンポルノ時代
ロマンポルノの企画会議
悩む監督、悩まぬ監督
ロマンポルノ第一作の評価
路線転換の受け止め方
『濡れた荒野を走れ』前史
警視庁と11PM
日本映画の転換期
ロマンポルノの作家性と商業性
起承転結を外す
ロマンポルノの成熟──『わたしのSEX白書 絶頂度』
女優探しはピンク映画からストリップ小屋まで
女優たち
『東京エマニエル夫人』のヒットとロマンポルノの限界
その後のロマンポルノと日活
日活退社

第3章 別天地から吹いてくる風──キティ・フィルムへ
今村昌平の溜息、黒澤満の誘い
とにかく優作だけ──『最も危険な遊戯』
音楽屋の新しい風──キティレコードの映画界参入
原作者が撮る──『限りなく透明に近いブルー』
廃墟──『太陽を盗んだ男』
そこにドブネズミがいた

第4章 あいつの見えない船に乗って──相米慎二、最初の三本
幸運な流れ──『翔んだカップル』
薬師丸ひろ子との初対面
『翔んだカップル』の二つのヴァージョン
まったく同じリテイク
相米演出の秘密の部分
嬉々として一人ひとり
みんな平気
うちの団地の赤川さん──『セーラー服と機関銃』始動
キャスティングの妙
プロデューサーという規準
子供たちの群れを見ながら
『ションベン・ライダー』はロードムーヴィー?
あんなずるいヤツいない
子役三人組の天職
破格の映画へのダイビング
キャメラと芝居
四時間半を一一八分に
相米の嬉しそうな顔

第5章 映画にはない肌触り──一九八〇年代、マンガとテレビと
角川春樹の登場
異業種の参入と幻の撮影所構想
ポップと言われても──マンガを映画に
毎週毎週二字熟語
外国ミステリーを換骨奪胎し──二時間ドラマの脚本
テレビと映画を並走し
テレビ局の映画進出・前夜

第6章 相米、夏に雪を撮るぞ──『雪の断章 情熱』と『光る女』
マグロ、台風、ロマンポルノ
いざ東宝撮影所へ──『雪の断章 情熱』
ヒロインと二人の男
醜いアヒルの子の物語
悔恨──『光る女』
相米とアクション
消えた雪の北海道

第7章 花盛りの時代の心許なさ──アルゴ・プロジェクトの頃
アルゴ・プロジェクト始末
監督をデビューさせること
現場での決断力
本物か偽物か、偶然を必然に──撮影所の言葉

第8章 あいつは命賭けてたようなところがあった──『お引越し』と『夏の庭 The Friends』
脚本が二〇稿、三〇稿と──『お引越し』
レンコを探せ
湖の畔から夜の森へ
カンヌの相米慎二
型破りの製作体制
子供たちと庭──『夏の庭 The Friends』
脚本をめぐる攻防
最後の仕事?

第9章 時代の変わり目に居合わせて──ケイファクトリーへ
才能が動き始める現場──『居酒屋ゆうれい』
キティ・フィルムからケイファクトリーへ
芸能事務所社長として
BSドラマに携わる
三十余年越しの『虚無への供物』
一九五四/一九九七──『薔薇の殺意』の宛先
幻の「伊地智啓フィルモグラフィ」
流れる理由さまざま
『半島を出よ』、予算一二億円
見当も付かない脚本──『69 sixty nine』

第10章 おまえの「生命力」に共鳴するうちに──エピローグ
弔辞
「生命力」
相米慎二の行き場所
幻の相米映画
青春の墓碑銘
撮れるなら撮ってみろ
脚本とプロデューサー
人を見極め、時代を見つめる

対談 盟友プロデューサー、すべての始まり 黒澤満・伊地智啓
大阪での接点
俳優部長と助監督として
社内が騒然としてきた
ロマンポルノ事始
ゴジはイッチがやんなきゃ
セントラル・アーツ旗揚げ
テレビで保たれたつながり
映画の現場は今

編者後記 木村建哉

伊地智啓フィルモグラフィ
索引

著者
伊地智啓

編者
上野昂志・木村建哉