柄谷行人と韓国文学

가라타니 고진과 한국문학

ジョ・ヨンイル 著
高井修 訳

定価:本体3,400円+税
2019年11月30日書店発売

四六判上製 304頁
ISBN978-4-900997-68-4
装幀:間村俊一
写真:港千尋

韓国文学に最も強い影響を与えた日本人文学者柄谷行人の30年に及ぶ韓国文学界との交流を跡づけるとともに、グローバルに顕在化する文学(生産)システムを撃つ、新鋭による痛快果敢な闘う批評!

韓国に翻訳紹介されるや大きな衝撃を与えた柄谷行人の「近代文学の終り」。理念的優越性を失った文学に終焉を告げた「近代文学の終り」は、その再生産に携わる者たち──文壇、大学、版元からなる文学システム──にさまざまな反撥とすれ違いを生んだ。本書は、創作と批評、教育と出版を取り巻く文学生産システムを俎上に載せ、文学の真の敵を撃つ果敢な文芸批評であり、また1980年代以来の、柄谷行人の韓国文学との交通・交流を丹念に調べあげつつ展開される優れた柄谷行人論。

これまで少なからぬ日本の思想書が紹介されはしたが、ずっと読まれているのは柄谷行人ただ一人と言っても過言ではない。「近代文学の終り」というテーゼが日本よりも韓国で大きな影響力を発揮したのはなぜだろうか。私は原点に戻って考えてみることにした。日韓の真の文学交流を望む人がいるなら、韓国人であれ日本人であれ、柄谷が残したものを引き継ぐことから始める必要がある。柄谷行人が韓国文学に及ぼした影響は、日本で漠然と想像するよりも大きく、それは客観的なデータでも証明されている。だがそれとともに強調したいのは、柄谷行人もまた韓国(文学)から多くの影響を受けたという事実である。『探究』以後のいわゆる思想的「転回」は韓国と日本を行き来する移動によってなされたものだった。(日本語版序文より)