社会的なものの発明─政治的熱情の凋落をめぐる試論

L’invention du social : Essai sur le déclin des passions politiques

ジャック・ドンズロ 著
真島一郎 訳・解説

定価:本体4,200円+税
2020年1月20日書店発売

四六判上製 420頁
ISBN978-4-900997-74-5
装幀:間村俊一
写真:港千尋

フーコー統治性の主題系と直結する重要テクスト

統治テクノロジーの相関物として発明された「社会的なもの」─本書は、この問題に関するフーコーの基幹テクストの不在を埋めた必読のレファレンスです。国家における、社会的なもの、政治的なもの、経済的なものの相関配置を、イデオロギーとは違う次元で冷徹に分析、すでに福祉国家の系譜学の古典であるとともに、左右両陣営の政治的境界が溶解した危機の時代に読まれるべきアクチュアルな名著。「社会の動員」(仏語オリジナル版、1982)を併録。渾身の訳者解説200枚付。

本書『社会的なものの発明』を脱稿する一九八三年時点では、ハイ・ポリティクスに位置を占めるいかなる陣営にとっても、個別の政策・制度面における現状打開の糸口がいまだ不透明であった以上、問われるべき政治的なものの賭金は、ドンズロとフーコーが各々のしかたで示唆したとおり、来たるべき統治性の形式であった〔……〕ならば三五年後のいま、当時からいったい統治のなにが変容し、なにが置換をとげつつ存続しているのか。アパシーの対極にあるはずの政治的熱情とは、はたしてアレント風にレス・プブリカから一掃されるべき害毒でしかなかったのか。当面の指針は記されながら確たる解答のしめされないこのテクストは、逆説的にもだからこそ、非決定の今日、二〇一九年にまで、ある衝迫力をおびたメッセージを送り届けているようにおもわれる。 (訳者解説「ドンズロの問いをひらくために」より)