甦る相米慎二

Shinji Somai: A Film Director in the Japanese Post-Studio Era

木村建哉・中村秀之・藤井仁子 編
Edited by Tatsuya Kimura, Hideyuki Nakamura, and Jinshi Fujii

定価:本体3,200円+税
2011年9月30日 初版第1刷

四六判上製 448頁
ISBN978-4-900997-32-5
装幀:間村俊一

歿後10年、相米慎二が再び
映画の魂を呼び覚ます
映画監督・相米慎二(1948−2001)。80−90年代の日本映画界を疾走し多くの観客に深甚な感化を与えながら、21世紀のとば口で逝った相米を、いまここに甦らせる。『セーラー服と機関銃』『ションベン・ライダー』『台風クラブ』『お引越し』ほか13作にわたる相米映画の原点、軌跡、そして未来──そのすべてを収める決定版・相米慎二論。聞き下ろしスタッフ・インタビュー、黒沢清・篠崎誠対談、さらに相米慎二講演録を特別収録。

結局個が種を超越できなかったのか、それとも東京上空だか北海道の凍てついた川の向こう岸だかに行ってしまったのかは知らないが、ろくに〈世界〉を見ないまま死んでしまった相米を、今こそみんなして〈世界〉に送り出さなければならない。いや、〈世界〉こそが相米を知らなければならない。今さら知ってどうなるんだよと本人が例の調子ではぐらかしても、どうせ死んでいるのだから構うことはない。〈世界〉がおのれの不明を恥じ、いかに巨大な存在を同時代に見過ごしていたかを知って愕然とする日が、ついそこまで来ているのである。

藤井仁子 相米慎二と〈世界〉との和解のために──序に代えて

I|相米慎二と映画
濱口竜介 あるかなきか──相米慎二の問い
大澤浄  「過程」を生きる身体──相米映画の子どもたち
筒井武文 映画の虚構性を問う──相米映画の撮影と編集
木村建哉 孤児の映画、親子の映画──相米慎二における性と生のドラマツルギー
中村秀之 生命の切れ端──相米映画における下半身の想像力
藤井仁子 春へ──相米慎二の四季

II|相米慎二の現場
伊地智啓(プロデューサー) あいつの見えない船に乗って
仙元誠三(撮影監督) 「できますかね」が伝染する
紅谷愃一(録音技師) 画に力があるから音が遊べる
熊谷秀夫(照明技師) 『あ、春』の照明の呼吸
榎戸耕史・冨樫森 映画は「相米以前」と「相米以後」に分かれる

III|相米慎二の時代
上野昂志 女優の出立──薬師丸ひろ子一九七八─八三
石田美紀 二つの『雪の断章』──映画と少女文化の接触地帯
岡田秀則 東京下界いらっしゃいませ──〈一九九〇〉偶景
黒沢清・篠崎誠 純粋に映画的であろうとした人

再録|相米慎二の言葉
相米慎二 自作にみる現代映画論──『翔んだカップル』から『東京上空いらっしゃいませ』まで

資料|相米慎二の仕事

木村建哉 終わりのない宿題──本書の「船出」に際して
中村秀之 「映画の暗闇」をとり戻すために──跋に代えて

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